きっと自分から語るときは断片。
幼少期
生まれてすぐ養護施設に預けられる。
月に1度程度、伯父が会いに来ていた。
母と兄弟たちとも年に数回会っていた。
施設では年下の子供の面倒をよく見るほう。
反抗期
小学校高学年になる頃、教師ウケがいいのをやっかんだ同級生に
出自を強めにいじられて、劣等感が芽生える。
伯父を問いただし、実の父ではないことを知る。
暴力をふるうことを覚えた。
中学期
施設にほとんど帰らず、外で飛び回るようになる。
酒タバコに手を出してみても、気は晴れない。
伯父との連絡も断絶、兄弟とも顔を合わせなくなる。
3年の夏~秋くらいに、劫蓮寺の住職がケンカを止めに入ったのを
殴ろうとしてパイルドライバーを食らったらしい。
気が付いたら仰向けに伸びていて、どんなに暴力を極めても
まともで強い人には何も敵わないなと気づいた。
冬から猛勉強して、舞神高校商業科にギリギリ合格する。
高校1~2年
地味で真面目な堅物柔道部員として過ごす。
劫蓮寺の寮で同世代と顔を突き合わせることも増え、
精神的には安定したが、こっぴどく不義理を働いた伯父には連絡する勇気がなかった。
高校3年
頭数が必要そうなら顔は出すよ、人が死ぬのは好きじゃない。
というきっかけで町おこし配信に参加…と思いきや
18になったし就活有利になるから免許取りに行ってくるか…と突然消える。
寺パで探されていたのも後で知ったし、
そういえば寮メンツにすら連絡先を教えていなかった。
もしかして、自分はとても付き合いが悪いのでは、と気づいた。
それはそれとして、いろいろなきっかけを得て、長かった反抗期をやっと抜けた。
***
夏に人生変わるの、何度目だろうな、というノリで
誰かに話したかもしれない、これから話すのかもしれない。
好きな人、好きな場所、友人、いつかのための約束、
自分がビビりなこと、方向音痴だけじゃなく音痴だったこと、
罰ゲームサイコロでゲラゲラ笑ったこと、
誰かの目を通して見る町が、かなり好きだったこと。
全部平成最後の夏に見つけた。
俺のサビだからめちゃくちゃ何度も言うんだけどさ、と
いつまでもそういう話をする。